20代の転職活動の裏側|転職業界のリアル
20代の転職活動は、初めての正社員経験やキャリアの転換期であることが多く、特有のチャレンジと機会があります。ですがその一方で生涯年収を考えた場合の不安やリスクについても知っておくことがとても重要です。
生涯賃金など生涯に関する指標 useful2022_21_p316-361.pdf (jil.go.jp)
※ユースフル労働統計2022より
これを見て頂ければわかる通り、転職をしないで1つの会社で定年まで働くのと転職を1回経験するとでは生涯賃金において平均2,000万円もの差が生じます。この背景には離職期間中の無収入の期間や退職金の積立期間の他にも新卒入社における1番の転職のデメリットと言われる「正社員チケット=将来のリーダーや専門家を育成するための重要な投資」を放棄する事となります。そんな背景も意識した上で20代の転職について考えて見ましょう。
以下は、20代の転職活動の裏側についてお話したいと思います。
◎20代からの転職準備と裏側
20代の転職活動では社会経験が30代、40代と比較すると実績は乏しいため自分自身の強み、弱み、興味、価値観を理解することが重要です。その一方でキャリアの再構築も柔軟に対応できるのも強みと考えられています。たとえ未経験の業界だったとしても自己分析を通じて、どのような仕事や業界が自分に合っているのかを見極めます。
・強みとスキルの棚卸しとキャリア目標の設定
自分の得意分野や経験を洗い出し、それが新しい職場でどのように役立つかを考えます。次に短期的および長期的なキャリアゴールを明確にし、それに基づいて転職先を選びます。
情報収集とネットワーキングは、希望する業界や企業についての知識を深めるために重要です。
・オンラインリソースの活用とネットワーキング
求人サイトや企業の公式ウェブサイト、業界のニュースサイトなどを利用して、最新の情報を入手します。LinkedInなどのプロフェッショナルなSNSを活用し、業界のプロフェッショナルとつながることで、内情を把握しやすくなります。
履歴書と職務経歴書は、採用担当者に対する第一印象を決定づける重要な書類です。数字や具体例を盛り込むことと資格取得やプライベートでの経験(学生時代の海外留学など)を記載すつのも良いでしょう。
・カスタマイズ
各応募先に合わせて履歴書や職務経歴書をカスタマイズします。具体的な実績やプロジェクトを強調し、求められるスキルとのマッチングを示します。
・実績の具体化と質問の準備
数字や具体例を用いて、どのような成果を上げたかを明確に伝えます。よく聞かれる質問に対する答えを準備し、自分の経験やスキルをどうアピールするかを考えます。
◎新しい職場での適応
転職後は、新しい環境に早く適応することが求められます。
・オンボーディングと積極的なコミュニケーション
企業が提供するオンボーディングプログラムを積極的に活用し、業務に慣れていきます。現在の職場の同僚や上司との良好な関係を築くために、積極的にコミュニケーションを図ります。もし連絡が取れるのであれば転職して行った元同僚に話を聞いてみるのもとても参考になります。
◎インボーディングとは
オンボーディング(Onboarding)は、新入社員や新規参加者が組織やチームに参加する際に、円滑な適応や効果的な業務開始を支援するプロセスです。具体的には、以下のような活動や取り組みを含みます。新入社員を歓迎し、組織の文化や価値観、役割や責任、同僚や上司の紹介などを行います。これにより、新入社員が組織に適応しやすくなります。また入社した社員に必要な業務や技術に関する教育やトレーニングを提供します。必要な資料やツール、システムへのアクセス権の提供など、業務を遂行するために必要なリソースを入社社員に提供します。入社社員と上司との間で、業務目標や期待、成果評価基準などを明確に設定し、定期的なフィードバックを提供します。これにより、入社社員が業務の方向性や進捗状況を把握しやすくなります。他にも入社社員を組織やチームの一員として受け入れ、コミュニケーションや協力関係の構築を支援します。これにより、入社社員が同僚やチームメンバーと円滑に関わり、協力して業務を遂行できるようになります。
オンボーディングは、新入社員の満足度やモチベーションを高め、生産性を向上させるだけでなく、組織全体の効率性や業績にもポジティブな影響を与える重要なプロセスの事を指します。
◎裏側のリアルな話
転職活動は大きなチャレンジですが、しっかりと準備をして臨むことで、自分にとって最適なキャリアパスを見つけることができます。
焦りや不安: 特に初めての転職活動では、失敗への不安や自分に合う職場が見つかるかどうかの焦りがつきものです。
情報の非対称性: 企業の実情や社風は外からは見えづらいため、ネットワークや口コミを頼りにすることが多いです。
競争の激しさ: 人気のある職種や企業への応募は競争が激しく、何度も応募しては不採用になることも珍しくありません。
失敗体験談「理想と現実のギャップ」|Aさんの場合
ケース1:Aさんの場合
Aさん(24歳)は大学卒業後、大手広告代理店に就職しました。2年間の経験を積んだ後、彼女は自分のスキルを活かしてもっとクリエイティブな仕事をしたいと考え、中小規模のデザイン事務所への転職を決意しました。Aさんはデザイン事務所の求人を探し、魅力的なポートフォリオを作成し、多数の企業に応募しました。いくつかの面接を経て、ようやく希望する会社から内定をもらいました。その会社は少人数でアットホームな雰囲気があり、自由な働き方ができると評判でした。
■ 入社後の現実
しかし、入社してすぐに真由美さんは理想と現実のギャップに直面しました。
1)業務量とプレッシャー
・真由美さんは少人数のチームで働くことに期待していましたが、実際には人手不足で業務量が非常に多く、毎日遅くまで残業が続きました。
・クリエイティブな仕事を楽しむ時間や余裕もなく、納期に追われる日々に疲弊していきました。
2)コミュニケーションの問題
・事務所はアットホームな雰囲気でしたが、その一方でコミュニケーションの取り方に問題がありました。チームメンバー間の連携がうまくいかず、情報共有が不十分で新人のAさんには分からない場面が多くありました。
・意見を出し合う場もなく、Aさんはだんだんと孤立感を感じるようになりました。
3)キャリアの不安
大手企業でのキャリアから一転。転職当時の自分の考えの甘さを感じるようになりました。大手企業では当たり前にあった受動的な教育体制はここでは無く、自ら考え・行動し能動的に学習しスキルを身につける必要があったのです。今のままでは自分の将来に不安を感じるようになりモチベーションが低下して出勤も不安定になりました。
■ 失敗からの学び
Aさんは、半年後に再び転職活動を開始しました。今回の経験から、彼女は以下の点を学びました。
①事前リサーチの重要性
転職先の実際の業務環境やチームの働き方について、もっと詳細にリサーチすべきだったと感じました。事前に社員の口コミやOB/OG訪問などを通じて内部の情報を収集する重要性を痛感しました。
②自己分析の深掘り
自分が本当に求めている働き方やキャリアパスについて、もっと深く考える必要がありました。単にクリエイティブな仕事をしたいというだけでなく、働く環境やチームの雰囲気も大切にすべきだと気づきました。
③面接での質問力
面接時に企業文化や具体的な業務内容について、もっと具体的な質問をするべきだったと反省しました。企業の説明を鵜呑みにせず、自分から積極的に情報を引き出す姿勢が必要だと学びました。
新たな転職活動ではAさんはこれらの教訓を活かし、慎重に企業を選びました。最終的には、自分に合った環境でクリエイティブな仕事を続けられる企業に転職することができ、現在は充実した毎日を送っています。この失敗体験を通じて、真由美さんは転職活動の重要なポイントを学び、キャリアをより良い方向に進めるためのステップを踏むことができました。
失敗しない転職のコツとは
20代ではまだ経済的基盤がしっかりと構築されていないことが多く、転職失敗による収入減少が生活に直接的な影響を与えることがあります。他の年代では、貯蓄や投資による経済的なセーフティネットがあることが多いため、失敗の影響を軽減する手段が比較的多い事と比較すると20代の転職の失敗は経済的なダメージがあると言えます。
最後に、「失敗しない転職のコツ」についてお話したいと思います。重要なのは事前のリサーチと自己分析が重要となります。以下に、職場選びのコツを具体的に紹介します。
1. 自己分析を徹底する
自分の強み、弱み、興味、価値観を明確にし、どのような職場が自分に合うのかを考えます。キャリアゴールの設定を行い短期的および長期的なキャリアゴールを明確にすることが重要です。また年代ごとのワークライフバランスなど、どの程度の仕事量や時間的なウェイトを置くのかも考えて見ましょう。
2. 企業リサーチを徹底する
企業の公式ウェブサイト、口コミサイト、ニュース記事などを活用して、企業の情報を収集します。
自分の価値観と企業のビジョンやミッションが一致しているか確認しましょう。次に企業の業績や成長性をチェックし、安定性や将来性を評価するここは四季報や業界地図、業界天気予報なども参考にすると良いでしょう。最後は社員の口コミやSNSでの情報を確認し、実際の職場環境や社風を理解する事も重要です。
3. 面接で積極的に質問する
面接は企業側だけでなく、自分にとっても企業を評価する場です。以下のような質問を積極的に行い、職場の理解を深めます。
・具体的な業務内容: 日常的な業務内容やプロジェクトの具体例を尋ねる。
・チーム構成と働き方: チームの人数、構成、働き方について詳しく聞く。
・キャリアパスと成長機会: 企業内でのキャリアパスや研修・成長の機会について確認する。
・ワークライフバランス: 残業時間やリモートワークの可否など、働き方に関する具体的な情報を聞く。
4. 自分の基準を明確にする
自分にとって譲れない条件や基準を明確にし、それに基づいて企業を選ぶことが重要です。
・自分が必要とする給与水準や福利厚生を確認し、それが提供されているかを評価する。
・勤務地:通勤時間や勤務地が自分の生活スタイルに合っているか確認する。
・成長機会:自分が成長できる環境かどうかを評価し、長期的に働けるかを判断する。
5. 内定後面談の時間をお願いしてみる
選考時や内定前では聞けなかった事なども内定後であればを落ち着いて質問できるはずです。ここで改めて自身の理解と相違が無いか再度、確認作業を行いましょう。また入社後の1~3ヶ月くらいの流れなども聞いておくと入社に向けて準備もできると思います。何よりじっくりと考える時間を持つことが大切です。
比較検討:複数の企業から内定をもらった場合、それぞれの条件や環境を比較検討する。
再確認:迷った場合は、再度企業の情報を調べたり、信頼できる人に相談したりする。
これらのステップを踏むことで、自分に合った職場を見つけやすくなり、転職後のミスマッチを避けることができます。
6. 転職エージェント(キャリアコンサルタント)をお願いすること
転職に失敗にないもう1つのコツとしてはプロの転職エージェントにお願いすること。
アドバイスを聞きながら自分の転職市場での価値を知ることも重要です。その結果、場合によっては「転職しない」という結論に至ることもあると思います。今のおかれた環境で「もう少し頑張ってみる」、「あと1年は経験のため転職しない」と言う選択肢も第3者の目から見た場合には選択肢として客観的に判断できるかもしれません。そういったプロのエージェントがあなたの隣で伴走してくれるのがキャリアコンサルタントのメリットと言えます。
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